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Author:Sogagoro
友人の勧めで文楽を観たことがきっかけで伝統芸能に目覚めました。歌舞伎や能もよく観ます。とりわけ三味線の魅力にとりつかれ長唄を習い始めました。

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長唄 「文五郎の会」@日本橋劇場

鳥羽屋文五郎の演奏会に行った

文五郎の会1

ホールには中村吉右衛門や中村梅玉などからのお祝いの胡蝶蘭や花束が沢山飾ってあった

文五郎の会2
<日本橋劇場(公会堂)は木調の椅子が美しく、音響も素晴らしい素敵な空間だ>

さて、第二回目の「文五郎の会」 演目は能の「景清」や近松の浄瑠璃「出世景清」などで知られる悪七兵衛景清(あくしちびょうえかげきよ)の物語をテーマとした3曲

正味僅か70分ほどの演奏会であったが、いろいろな意味で非常に充実した舞台で、大いに感激した

自分のことだから目当ては三味線、だから最前列の右側に座った

最初は「五條坂景清」 四挺四枚に太鼓、大鼓、小鼓X2に笛の囃子連中の充実した編成

曲の前半はで華やかな曲調で始まり、廓に通う景清の様子が描かれ、後半は宿敵、源頼朝の暗殺を狙うが企みが露呈。 大立ち回りとなるが、景清が名刀痣丸(あざまる)を抜くと相手が逃げ惑うというストーリー

文五郎の声質は彼の父、鳥羽屋里長(人間国宝)の活劇的なダイナミックな声と瑞々しい情感溢れる杵屋直吉のような声のちょうど中間にあるように思う

だからこの曲のように艶っぽい前半にも荒事っぽい後半でも素晴らしい唄を聞かせてくれる

10月の南座「矢の根」で里長が大薩摩をやったとき、その脇で唄った鳥羽屋長孝が左端を固めていたが、やはり今回もこの人は若いのに上手いなと思った

囃子連中のことまではまだ勉強が足りないので分からないが三味線、唄とも息がぴったり、掛け声の質も枯れあり、迫力ありで大いに気に入った

続く「壇ノ浦兜軍記-阿古屋の段」は文楽でもお馴染みの演目だが、幕が上がるとナント前半は文五郎と杵屋栄津三郎の一挺一枚のサシ

栄津三郎は歌舞伎で里長が唄うときに多くの舞台で立三味線を務める、あの杵屋栄津三郎だぁ!

彼が立てを勤める舞台は「締まる」。 彼の前を睨みつけるような視線、気合溢れる掛け声、切れのいい合方、どれもこれもプロ中のプロを感じさせる緊張感溢れる迫力満点のパフォーマンスだ

その栄津三郎が目の前、5メートルのところでいつもと同じ厳しい眼差しで真っ直ぐに正面を向いて弾いている

歌舞伎の舞台で遠くに観る彼より、間近に見る実物はもっとカッコ良かった。 これだけで今日来た甲斐があるというものだ

途中からは上手の障壁が横に動き、背後から鳥羽屋里夕(なんとお読みするのかも分からないが、素敵なお着物の女性)がツレ弾き(と、言っていいのかも分からん)として登場

棹が違うのか、駒が違うのか分からなかったが、音が全く普通の三味線と違う軽い音がする

栄津三郎とのツレ弾きだから相当の遣い手なのであろう

ここまで書いて失礼があってはいけないのでググって見たら・・ ⇒ 鳥羽屋里夕(りせき)公式サイト

やっぱり、文五郎さんとご兄弟、つまり里長の娘さんだ。 どおりで・・・。

阿古屋は文楽でもお馴染みの「琴責め」だ。 文五郎さんには本当に申し訳ないが、ごめんなさい、栄津三郎と里夕さんの三味線に気を取られているうちに、短い演奏が終わってしまった・・・。

ここで休憩  客席の後方にはスーツに眼鏡姿の里長さんも立ってご贔屓筋に挨拶をしておられた

最後は新作「日向島」  景清がなぜか日向の国(宮崎)に落ちぶれた姿で暮らしている。 そこに彼の娘が訪ねてくるというという物語を文五郎自身が作詞・作曲したもの

四挺四枚、囃子方に通常の篠笛に加えて能楽笛方藤田流十一世宗家、藤田六郎兵衛が能管で加わるという異色の編成

能管の音階は通常の三味線や笛などの音階とは合わない独自のものだが、逆にその独特の響きが景清の波乱万丈の来し方と現在のわび住まいの哀れを見事に描き出す

長唄の曲ながら文五郎が観世流能楽師、梅若玄祥に手ほどきを受けたという謡やセリフっぽい語りもおりまぜ、変化に富む曲であった

新曲ではあるもののまるで古典のような優雅な曲調で非常にいい演奏であった

途中、早稲田大学演劇博物館長である竹本幹夫教授による景清の実像と、能、幸若舞、浄瑠璃、歌舞伎など「景清物」と言われる数々の物語についての解説もあり、NHKの葛西聖司アナウンサーが構成したという文五郎自身による「司会(録音)」もありと、とても心配りの行き届いたイベントだった

竹本先生は人形浄瑠璃の祖「竹本義太夫」とは関係ないが、景清とは血縁がある方だそうである

彼のお話にもあったが、景清は平家物語でもいくつかの場面で登場する

例の頼政・以仁王の挙兵の際の「橋合戦」でも平家方の先鋒を務める武将として名前が挙がっているしが、特に有名なのは巻十一の「那須与一」が扇の的を射抜いた直後の段、「弓流」において、源氏方の美尾屋十郎の錣(しころ:兜の後ろに垂れている首筋を守るためのもの)を引きちぎったという「錣引き」のエピソードである

ここでも「橋合戦」が登場し、先日訪ねたばかりの宇治平等院との繋がりが見出せて嬉しい限りだ

何はともあれ「芸」に対する厳しい取り組みのみならず、観客、贔屓筋に対する鳥羽屋の皆さんの姿勢にじみ出た心から楽しめる演奏会であった
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