
拙ブログのタイトル・バックは大山阿夫利(あぶり:雨降り)神社にある能舞台である。ここでは毎年9月の中旬に「火祭り薪能」が行われる。この夜の写真は昨年9月の演能直後に撮ったものである。昼間の写真でも分かるとおりこの舞台は緑濃い大山の森を背景に鯉が泳ぐ池の上に作られた堂々たるものである。通常能舞台の背景に描かれるはずの老松がここでは本当の松だというのも面白い(夜の写真の方がよく分かる)
一昨年は「雨降り神社」を地で行く大雨であったにもかかわらず、カッパを着込んで「小鍛冶」を観た。夕闇の中、山深い能舞台に三条宗近の相槌となるべく、稲荷明神が狐の姿となって現れるのはそれだけで神秘的な光景であった。小鍛冶は筋自体が分かり易い上に、謡も舞もリズミカルで小生のような者でも退屈せずに楽しめる曲である。作者などは不明らいしが後には浄瑠璃や歌舞伎にも移されており、長唄の入門曲のひとつにもなっている。小生も練習曲のひとつとして教わったことがある。それだけに「小鍛冶」は思い入れのある曲なのだが、悔やまれるのは今春、大阪国立文楽劇場でかかった文楽の小鍛冶を見逃したことである。なんとか東京で再演してもらいたいものだ。
⇒ 大山神社は現在の神奈川県伊勢原市にある。大山参りは江戸時代には大体二泊三日で行ってこれるちょっとした小旅行の対象として庶民の間でたいそう人気があったとのこと。現在の国道246号は以前は大山街道と言ったらしいが、それは江戸からこの大山に通じる道という意味だからだ。ここで一昨年には薪能とは別に坂東三津五郎が、坂東流のお家芸のひとつで大山参りの道中を題材にした「山帰り」という舞踊を奉納した。
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神秘的な美しさ
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