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Author:Sogagoro
友人の勧めで文楽を観たことがきっかけで伝統芸能に目覚めました。歌舞伎や能もよく観ます。とりわけ三味線の魅力にとりつかれ長唄を習い始めました。

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歌舞伎 「京鹿子娘道成寺」@演舞場

歌舞伎11月公演 「吉例顔見世大歌舞伎」の夜の部を観た

11月公演チラシ

遂に念願の「京鹿子娘道成寺」を生の舞台で観ることができた!!

DVDでは玉三郎の道成寺も観たし、さよなら公演での玉三郎と菊之助の「二人道成寺」のDVDも繰り返し観てきたが、はやり今回の菊之助による「生道成寺」は最高であった

義太夫節にのって花道から白拍子花子が寺を目指してやってくる道行の後、紅白の幕が上がると満開の桜に包まれた山の向こうに道成寺と思しき伽藍と五重塔が見える

それを背景に色艶やかな着物に身を包んだ菊之助が次々に変化する曲想に合わせた踊りを、一時間以上に亘って独りで踊り通す姿は感動的である

特に超絶スピードの三味線の合方の後、「恋の手習い・・・」のクドキで見せる花子の色気にはドキッとさせられる素晴らしい舞いであった

次々に引き抜かれて、速替わりする着物の美しさにも思わずうっとりとしてしまう。 しばらく前までは全く興味もなかった「和服」としての着物が、かくもテーマ性(モチーフ)や季節感を雄弁に表現する芸術性の高いもものであることに今更ながら圧倒されるとともに、着物文化をはぐくんだ日本の文化の奥の深さを改めて誇らしく思う

もちろん玉三郎の道成寺や彼と菊之助の「二人」とかを観た目で言えば、まだまだ注文はあるのかもしれないが、生の舞台で観た今日の菊之助の道成寺は自分にとっては最高のパフォーマンスでありエンターテイメントであった

そして大半のお客さんが菊之助の踊りにしか関心がなかった、と言うか、目を奪われていたと思うが、それでも自分は七挺七枚の長唄連中、太鼓2、大鼓、小鼓3、笛2の囃子連中にも大いに満足した

舞踊としての娘道成寺は歌舞伎舞踊としても最高峰の一つと言って間違いないと思うが、同時に長唄としての道成寺も傑作中の傑作である

今回はしっかりと楽譜を持参したが、菊之助の踊りを見なきゃ意味がないので合方(三味線だけの器楽演奏のパートを合方という)のとき以外は楽譜を見るどころではなかった

娘道成寺楽譜

三下がりからスタートするも「言わず語らぬ・・」からは二上り、そして「梅とさんさんさくらは・・・」からは再び三下がりへ。途中、楽譜にはないが合方の途中ですら調子を変えている場面を何回か見た

三味線の手自体は楽譜で見る限りそれほど難しくはないように思えるが、それでも合方では超高速になるところが何箇所もあり、それを七挺であわせるのだから至難の業だ

立三味線の杵屋巳吉はまだ若い(若く見える)が高い集中力で細かく速いフレーズもこなれていたし、彼に続く六挺もよく統率がとれていた

勝国や栄津三郎のようなキレとメリハリ、そして攻撃的な迫力には欠けたような気がするが、それでも娘道成寺という曲にはそういうものより、しっとりとした情感が表現できることが大切なのかもしれない

唄はこの曲ならばはやり直吉で聴きたかった

さて、最初の「外郎売り」はなんのことはない、我らが曽我五郎が外郎売に変装してやってくる以外はいわゆる「寿曽我対面」とほとんど同じ設定で、極めて祝言性の高い様式美を楽しむ舞台だ

幕が上がると雄大な富士山を背景に舞鶴、大磯の虎、化粧坂の少将らの美女や武将が居並ぶ絢爛豪華、もうそれだけで「立体錦絵」!!

見せ場のひとつは外郎売の口上を早口言葉で言う場面だが、当代の尾上松緑も堂々とこなしたものの、観てるこちらとしては「カマないか、カマないか」と冷や冷やしながら観ていたのは偽らざるところだ

その後すぐに得意の荒事を披露する五郎、お決まりの和事スタイルでなだめにかかる兄曽我十郎は若手のホープ、尾上松也だ

この狂言には大薩摩なのだが、実際には長唄連中による演奏で、ここでも巳吉の三味線が光った

そして最後は音羽屋のお家芸、髪結新三。

チラシの裏には「江戸の市井の風俗をみごとに活写した黙阿弥の作品。初演で五世菊五郎が新三を演じて以来、音羽屋の家の芸として受け継がれている世話物の傑作」とあるが、まさしくそのとおり!!

大店に出入りの髪結いがやって来て、手代忠七の頭に当るシーン。 菊五郎はまるで本職の髪結いであるかのごとく、手際よく「仕事」をしていく

次には新三の家での新三(菊五郎)とその見習い下剃の勝奴(菊之助)の実の親子が交わすやり取りに、外からは鰹売りが初鰹を天秤棒に担いで売りにくる

さぞや値が張る初鰹をポンと言い値で新三が買うと、魚売りはさっさとそれを二枚におろすのだが、初物に目がなかった江戸っ子の風情を生き生きと映し出している

性根の座った「悪(ワル)」をやらせたらおそらく当代一の菊五郎は、ボロ長屋の座敷の真ん中に座っているだけなのだが、客席はまるで自分が本当の江戸の市井にタイムスリップしたような、そんなリアリティの中に引き込まれて行く

悪の新三の上を行く、老獪な大家。 これを演じた三津五郎の芸の奥行きに今回は大いに感動した
三津五郎と菊之助が三十両の金を巡ってのやりとり  最初は強気の菊五郎が三津五郎のしたたかな弁舌の前にタジタジになっていく場面は見ごたえがあった

ところで、「恋の手習い・・」のクドキで花子が口に咥える手拭が、今回も恒例として「おひねり」にして舞台から投げられたのだが、なんと幸運なことにナイスキャッチ。 前席のお着物姿のオバ様には申し訳ないが、彼女の手をすり抜けた一投を手のひらの真ん中でパシッと受け止めてしまった

テニスのボレーもこういう感じでスイートスポットに当たればもっとパフォーマンスも上がるのだが・・

菊之助手拭
<音羽屋の定紋である「重ね扇に抱き柏」と菊之助のサイン入り!ラッキ~!>

そんなこんなの盛りだくさんの約4時間40分。あっという間に過ぎてしまった

ああ、娘道成寺を今一度、長唄囃子連中にフォーカスしながら観てみたい

そして更にもう一度、今度は菊之助に集中して同じ舞台を観てみたい
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