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Author:Sogagoro
友人の勧めで文楽を観たことがきっかけで伝統芸能に目覚めました。歌舞伎や能もよく観ます。とりわけ三味線の魅力にとりつかれ長唄を習い始めました。

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長唄 「邦楽社」 + 蕎麦 「嵯峨谷」

ときどき新橋駅から虎ノ門方面に歩くことがある

虎ノ門、とうよりはやや愛宕山方面に斜めに進んで行く感じだ。 大阪屋「砂場」の立派になったお店と「蔵」もこちらの方角だ。

邦楽社

昔の第17森ビル(今はマッカサー道路が通るので取り壊されてしまったが・・・)の裏手にちょっと古ぼけたビルがある

この2階に長唄をはじめとるす邦楽の楽譜を出版してくれる「邦楽社」がある。僕はいつもここで楽譜を買うことにしている
外の階段を上がって、ドアを開けると、昔の映画に出てくる「会社の事務室」のイメージそのものの空間がある。

ちいさなカウンターがあってそこから事務所の人に「すみません、長唄の勧進帳の楽譜、いただけますか?」とお願いすると同じ空間の奥の棚に女の事務員さんが入っていかれて、「これですね」って持ってきてくれる

部屋全体が邦楽の楽譜の臭いがする。でもそれがたまらなく好きなんだな、これが。

なんかずっとそこに居たい気がするんだけれど、会計を済ますと、カウンターの脇に置いてある「伝統文化新聞」をタダでもらって帰ってくる

嵯峨谷

その途中にこんな店が。立ち喰いながら手打ちの味、いうと京橋「恵み屋」を思い出すが、まさに、恵み屋と同じような機械を使っている。しかも自家製粉といわんばかりに電動石臼が店内で回っている

しかし、なぜかここの蕎麦はきしめんのように平べったい。しかも、石臼は毎分30回は回転してしまっている。
これでは臼が発熱してしまって蕎麦の風味が損なわれるのではないかとヒヤヒヤ

だって石臼をまわすスピードは毎分14回から16回ぐらいがいいと聞いたことがあるから

嵯峨谷_もり

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蕎麦 神田須田町「まつや」+万世橋駅界隈

神田淡路町、須田町辺りは老舗の銘店が多い

須田町まつや

蕎麦「まつや」もしかり。 卵水で打つことによって独特のコシを持つ蕎麦ができる

お品書きにはいろいろな誘惑が書いてあるが、相変わらず小生はこの一本

まつやもり

しかし、「まつや」のごまそば、カレーうどん、にしんそば・・・、どれをとってもどうしてこうも美味いのだろうか。
おっと、もりそば以外にも食べていることがバレバレ

須田町竹むら

まつやのもりだけでは当然すぐに小腹すく。そんなときはこちら、甘味処「竹邑(たけむら)」へ。

あんみつを食べて、職場の女性陣にはあげまんじゅうをお土産にお忘れなく

藪蕎麦

甘味はどうも、という向きにはもう一軒、東京の蕎麦と言えば、神田藪蕎麦、というぐらいのあの藪蕎麦もここに

あんこう鍋のいせ源、鳥料理のぼたんなどどうしてこんなところに、と思うほどの老舗が不思議と整然と並んでいるのが淡路町や須田町界隈の不思議なところ

もう大宮に移ってしまったけれど、この近くに鉄道博物館があった。その旧鉄博(てっぱく)があった場所は実は旧国鉄万世橋駅があったところだ。今でも中央線で神田から御茶ノ水にいく途中の「R」の場所にレンガ造りの駅の跡が残っている

この万世橋駅周辺に栄えた飲食街の名残がこれらの老舗だと聞いたことがある

駅は比較的短命に終わったが美味しい食べ物は今でも健在だ!

「はじめての邦楽」@国立劇場

はじめての・・・、と言われるとなんだか気恥ずかしいが三味線のお師匠さんも出演されることもあり、国立の小劇場に足を運んだ

司会はお隣の大劇場で7月の歌舞伎鑑賞教室でも案内役を務めていた尾上松也だ

小劇場のこじんまりしたイベントだというのに、舞台のソデからマイクを持った松也が姿を現すと、いきなり「オトワヤッ(音羽屋)」の掛け声がかかる

はじめての邦楽

まず最初は義太夫節だ。しかもこれが女流義太夫節の竹本越孝(こしこう)に鶴澤三寿々(つるざわさんすず)ときた

松也の進行で義太夫の特徴や義太夫節に使われる三味線が棹の太い「太棹」とよばれるものであることなどが、丁寧に説明された

全体の時間が限られているのだが、説明に時間を割くことが狙いのようで、肝心の「傾城恋飛脚」はほんのサワリだけの演奏だった

次が「新内節(しんないぶし)」だ。これはとても新鮮だった。19世紀の始めころに鶴賀新内が確立した「座敷浄瑠璃」とのこと

通常は二挺一枚(にちょういちまい)、つまり、三味線二挺に語りが一人という構成なのだそうだが、この日は新内剛士(しんないたけし)ともう一人の二人が三味線を抱えて引きながら客席後方から「新内流し」という風情で登場した

したがって剛士は弾き語りで語りながら(と言うか完全にもうこれは唄の世界)舞台に向かって歩いてきた。その後ろをもうひとりの三味線が上調子を弾きながらついて歩くという形だ

これも舞台でひとしきり新内の特徴を説明した後、新内の名曲のひとつと言われる「明烏夢泡雪」を演奏した。これもとても短い演奏だったが、剛士のよく通る高い声、静かに弾かれる三味線とあいまって、大人の色気が前面に出た素晴らしいものだった

江戸時代に発達したお座敷音楽の代表なのであろう。「新内流し」のスタイルで花街を流していると、お座敷から声がかかり、そこでお客のリクエストに応えてなんでも演奏できなければならなかったそうだ。

最後がいよいよ長唄の番。 東音味見純(とうおんあじみじゅん)が唄と説明の中心。三味線は東音山口聡(さとし)と同じく東音穂積大志(ほずみたいし)師匠だ。山口聡は東音会の演奏会や上野広小路亭でもよく見かける顔で、実は杵屋五助という名前も持っている。

味見純が長唄の説明をしてくれたが、印象的だったのが聞く人に「裏声」を裏声として聞こえないように唄うのが上手な歌いかただという説明だった。実際に味見がいい例と悪い例をやってみせてくれたが、松也も言っていたとおり、悪い例でも十分素晴らしいのだが、確かに良い例はどこからどこまでが地声でどこからが裏なのかは分からなかった。

そして残りわずかな時間でなんと「五郎時致」(ごろうときむね)の5分間バージョンだった。最初、大薩摩の語り出しの部分から化粧坂の少将のところまでが本調子で、そこからいきなり「二上がり」に調子を変えて(二の糸を全音高く、瞬時に調弦し直すのだ)、「藪のうぐいす」へぶっ飛んで行くという省エネ版の五郎だった

味見の迫力のある唄がよかったが、やはりせっかく五郎をやってくれるなら、全曲フルで聴きたかったものだ。

ちなみに小生の最初で最後のお浚い会で演奏したのがこの「五郎」だった。





落語 柳亭市馬 @ 鈴本演芸場

日経新聞、夕刊の記事が気になって珍しく落語を聴いた

鈴本演芸場2

上野の鈴本演芸場は初めてだ。 御徒町駅降りてすぐの「広小路亭」には長唄のお師匠さんの演奏会で何度も足を運んだものの、広小路でも落語を聴いたことはなかった。

鈴本演芸場1

七月上席(かみせき)の最後の土曜日だったが、その日の仲入り後は林家正蔵の落語、柳家小菊の粋曲、そしてトリが柳亭市馬という充実のラインナップだった。

日経では市馬の「お化け長屋」を褒めていたが、この日は「らくだ」をかけた。 「らくだ」がどんな噺であるかはWikiに譲るが、登場自分物の出入りが多く、途中から主人公が酔っ払って本来の人格が徐々に外に現れてきたりするところが難しい真打の大ネタ、というのが定評らしい

確かに市馬の語りを聞いていると、勝手に頭の中で「らくだ」が住んでいる長屋が頭の中に浮かび、その空想のセットの中で、大家だ漬物屋だのの登場人物が明確なイメージを持って登場してくる

考えてみれば舞台装置もなければ立って動き回ることもなく、単に独りで座布団の上に座って、せいぜい小道具といえば扇子があるだけ

それでいて話の情景を描き、登場人物を語り分けながら、笑いを演出しながら最後のオチへと盛り上げていく

これは大変な芸だな、と市馬の話を聴き終わってそう思った

実はその翌週にも鈴本で中席を聞いた。 柳家三三(さんざ)がトリだった。五十前の市馬と四十にもならない三三を比べてはいけないのかもしれないが、こともあろうに三三も「らくだ」をかけた

落語経験が全くない、といっていい小生にとってさえ、衝撃的な違いだった。とても同じネタとは思えないぐらい三三の噺は平板で立体感がなかった。だから、噺の中に入っていけない、引き込まれない

三三には何の罪もないのだが(か、どうかは本当は小生には分からない。つまり、上席で市馬がかけた同じネタをやる、という判断が正しいものなのか、それが分からない)、期せずして、落語の奥の深さと市馬の芸のレベルを実感できたのは貴重な体験だった

さて、もうひとつのお目当て、小菊の小唄だが、これはちょっと期待ハズレ。実は彼女が舞台に出る前のソデに立ったとき、さっと彼女の顔が曇った。「なんだろう?」と思ったら舞台に置いてあった三味線の三の糸(一番細い弦)が切れていたのだ

演奏している最中に糸が切れるのは文楽でもよく見かけるが、弾き始める前に切れるなんていうのは初めてだ。たぶんそれはベテランの小菊にとってもめったに無いことだったに違いない

舞台に出るなり「まあ、なんてことでしょうね・・・」などと言いながら手馴れた仕草で糸を張りなおしたものの、少なくとも3分ぐらいは持ち時間を失った

しかも糸を手際よく張る様子をみた観客は、それだけで大きな拍手。そのせいか、肝心の演奏に対するは拍手がイマイチ。
当の本人もそれには当惑気味で、とうとう最後まで調子が出ないで中途半端な舞台となった

それ以外では二週続けて登場した柳家喜多八の「無気力落語」的な芸風が面白かった

また、三三の出囃子が長唄の「京鹿子娘道成寺」の合方(三味線のソロの部分)がアレンジされていたのに驚いた

最後に噺家の芸の違いやネタの選択がその日の出来に大きな違いとなることも分かったが、二週立て続けに鈴本に通ったお陰で、もうひとつ感じたことがある

それは「客の質」もまた日によって違うということ。落語の芸を高めるためには、聞く側の姿勢と芸を見極める目が不可欠だと
つくづく感じた。




蕎麦 那須「上川の里」 - 絶品! 鴨せいろ

那須にある友人の別荘に遊びに行った

5月の連休に初めて行った蕎麦屋 「上川の里」を再訪

⇒ ちょっとしょぼいが一応HPはこちら

IMG_0852_small2.jpg

今回は迷わず鴨せいろを頂いた

上川の里 鴨せいろ

なんとコレが大正解!!

鴨の油のコクが鴨を炙った香ばしさと絶妙のマッチ。 しかも、大きめ、深めのドンブリにタップリと入ったネギ、鴨、ネギ、ネギ、鴨、ネギ・・・。 鴨せいろ、とはかく在るべき、と思わせるような鴨汁である

もちろん蕎麦は前回同様しっかりとした触感と甘い蕎麦に、この絶品鴨汁がしっかりと絡む

十分な具と汁のおかげで、つい、蕎麦をお代わりしたくなる

あ~、幸せはどこまでも続く感じ!!

歌舞伎 「義経千本桜 川連法眼の館」

国立劇場で歌舞伎の鑑賞教室に行ってきた

6月の出し物は義経千本桜、「河連法眼館の場」である

鑑賞教室_small
<無料で配られた冊子の表紙>

「鑑賞教室」なんて子供(生徒)が行くもの、って思われるかもしれないが、これが結構楽しめる

文楽の鑑賞教室は大阪は7月、東京は12月だが少なくとも東京は欠かさず通っている

なんと言っても若手の俳優や太夫、三味線、人形遣いが普段とは違った表情で面白おかしくそれぞれの伝統芸能を生き生きと語ってくれる姿が見ていて微笑ましい

今日は中村壱太郎(かずたろう)が冒頭の解説をしてくれた。袴姿も凛々しい二十歳の慶応ボーイだ

マイクを片手に歌舞伎の解説をしているときは、よく通る声の「男の子」として颯爽と話しているのだが、これが一旦本番になって義経の彼女、静御前になって出てくると、もうどこをどう見ても若くて美しいお姫様なのだ

声もさっきとはうって変わって女性の声。図らずも双眼鏡でジッと見つめてしまった・・・「これはヤバイ・・・ぞ」

この美しさ、さっきのイケメン男との落差の大きさ、一体これはなんなんだ~!

ちなみに左の狐忠信は壱太郎クンのお父さん、中村翫雀(かんじゃく)だ。ちなみにお父さんのお父さん、つまり、壱太郎クンのおじいさんは、あの坂田藤十郎(人間国宝)だ

血は争えぬ、と言うが、これは一体「血」なのか、それとも精進なのか。

まあ、その両方だというのが優等生的答えなのだが、それにしても江戸時代から続く芸能を明るく前向きに、そして何より楽しいそうに繋いでいく若者がとても眩しく、そして頼もしく思えるのであった

壱太郎君の記事が松竹のページに出ています

7月も国立劇場は鑑賞教室。千本桜の渡海屋の場・大物浦の場を尾上松緑が平知盛に扮して演じる

詳しくはこちら

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