新橋から御成門の方角に向かって歩いていくと、途中に整備が進むマッカサー通りの工事現場に必ずどこかでぶつかる
それを越えると同じ新橋でも通りが少し静かになってくるが、ここまで来ると困ったことにどの路地も同じように見えてくる
そんな分かりにくい路地の一角になかなかの手打ちそばを食べさせてくれる蕎麦屋が確かあったはずだ
なんども迷いながら、記憶を辿って来てみたらやっぱり蕎麦屋があった。 「ときそば」と書いてある
でも「手打ち」とはどこにも書いてない

まあ、いいか・・・ それに「ときそば」と言えば確かに落語のネタのひとつにあったような・・・
そう思いながら暖簾をくぐったら 「あ、やっぱりここだ、前に来たことがある!」
まあ居抜きで次のお店が入ったんだな・・・と思いつつ、以前も座ったことのある置くのテーブル席に座った
そうするとなんだかBGMのような人の話し声のようなものが邪魔にならない程度に聞こえてくる
ははは~ん、落語のDVDかCDがかかってるな・・・。 それで「ときそば」かぁ
前置きが長くなったが、結論は久しぶりにいいお店に出会えた、って感じである
お酒もそこそに充実しているが、酒肴もなかなかいける
写真の出汁巻きは卵の数を選べるのだが(因みにこれは2個。2個で十分)、この「卵焼き」は絶品である
甘過ぎず、塩っぱ過ぎず、淡白すぎず、濃厚過ぎず
酒のツマミとしての卵焼きとしてはこれ以上の味のバランスはない
そして食べる人の好みで、添えてある大根おろしに醤油をたらして味を調整できるギリギリ最低の線が確保されている

蕎麦掻きは通常はお湯に浸かって出しているそうだが、あえて掻きっぱなしで出してもらった
これもフワフワで蕎麦の甘みが横溢した最高の一品!

仕上げの蕎麦は鴨せいろがお勧め。鴨の油とネギの織り成すハーモニーがたまらない。

そして肝心の蕎麦だが、見よ、この美しい麺肌を!!
細打ちをたのむ限りは間違いない。蕎麦の香り、コシ、エッジ感、全て申し分ない
あえて言うなら、ここまでの蕎麦を出す上は、つゆはもっとかつを出汁を抑えて、返しのコクで麺にグッとからみつくような「強いつゆ」にすべきだ
そうでなければダシ汁の風味の主張とぶつかって、せっかくの蕎麦の風味が十分に生かせないことになるからだ
とは言え、この店は酒肴と旨酒で十分に2時間楽しめる素晴らしい空間だ。 ぜひ大事にしたいものだ、
新橋「ときそば」の詳細はこちらさて、落語の方だが改めて柳家小さん師匠の「時そば」をCDで聞いてみた
最後の代金をごまかす(ごまかせない)オチもさることながら、そこにいたるまでのやりとりがなんとも面白い
夜鳴きそば、夜鷹そばの江戸の風物が目の前に浮かんでくる
落語の「時そば」はこちら