歌舞伎座「さよなら公演」のDVDで「壽曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」を改めてじっくりと観た
頼朝が平家を討って鎌倉に幕府を開く少し前、つまり平安時代の末期に伊豆で工藤祐経(くどうすけつね)に実父である河津三郎祐康(かわづさぶろうすけやす)に殺された幼い兄弟が、18年後に将軍となった頼朝が催す「巻き狩」の最中に見事仇討ちをを果たす(1193年5月28日)、というのが「曽我兄弟の仇討ち」である
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曽我物語のあらすじはこちらへ兄弟の十郎祐成(すけなり)は父親が殺されたときには5歳、五郎時致(ときむね)はわずか3歳であった。河津三郎が殺されたのち、ふたりの母親は相模の曽我祐信に嫁いだため、ふたりは曽我性を名乗っている。
そしてこの仇討ちの物語が広く全国に知れ渡り、また、兄弟のうち特に勇ましかった「五郎」が「御霊(ごりょう)」に通じることもあって、仇討ち成就を称えるとともに、神の業としてほとんど「信仰」の対象にすらなっていた。
歌舞伎では江戸時代の享保年間からはこのおめでたい「曽我物」の演目を正月に吉例として必ず上演するという習慣が生まれた。
先般の歌舞伎座さよなら公演でも、古式にのっとり平成21年1月には「壽曽我対面」が上演されたというわけだ。
五郎時致が吉右衛門、十郎祐成が菊五郎、遊女化粧坂の少将に菊之助、大磯の虎が芝雀、そして工藤に幸四郎という豪華キャストだ
この十郎・五郎の兄弟もいまや揃って人間国宝。 吉右衛門ファンの自分にとっても嬉しい舞台の記録である
いずれにしても 長唄「(五郎)時致」を唯一の持ちネタとしている小生にとっては縁の深い演目である。
ちなみに近々、ひょっとしたら国立で「生対面」が観られるかもしれない
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